階段は今やプレカットが主流です。
階段を一から刻むことはほとんどありません。体で覚えようにも覚えるだけの機会がないのです。
親方大工さんに「お前ら、ささら階段も分からんのか??」と時代の変化も考慮せずに言われたら、この記事を参考にしてください。昔と違い、僕らの時代はネットで情報を共有できるんです。
今回は「ささら桁」を図面をもとに加工する方法です。
階段のささら桁加工に必要な寸法の確認
階段のささら桁をつくるのに必要な寸法を確認します。
最低必要な寸法は4つ
・階段の段数
・階高(1階FL〜2階FL)
・段板の厚み
・踏面寸法
です。
すでに図面上に謳われている場合もあります。もしくは監督さんの頭の中のときもあります。聞いて確認します。
階段の段数
段数はたいてい図面に描かれています。
今回の階段は16段。
階高
階高は、1階のFL〜2階のFLまでの寸法です。この寸法を段数で割ることで1段あたりの蹴上寸法が分かります。
参考ページ↓
段板の厚み
段板の厚みも確認して置きます。
「ささら桁と床・ささら桁と柱との取り合い」を決めるのに必要です。
踏面寸法(ふみづら)
踏面寸法に関連する寸法が図面に記載されていることは少ないので、監督や設計士に確認します。「踏面はいくつほしいの?」てな具合です。
だいたい設計標準で各会社のオリジナル寸法が決まっているはずです。
蹴上寸法(けあげ)
蹴上寸法は、基本的には「階高÷段数」で出します。
図面で階高と段数を確認。もしくは現場で階高を実際に測って確認します。下地の場合で確認するときは、フローリングの厚みを考慮するのを忘れずに・・・
階段のささら桁のつくり方
折り返し階段までのささら桁
今回の階段は折り返し階段。
1階床から廻り階段までの直階段と
廻り階段から2階上がり框までにささら桁が必要です。
蹴上寸法と踏面寸法を使ってささら板に角度を出す
?については後ほど。
赤線が階段の角度になるので、この線を(踏面の方)をクセガネで拾っておきます。僕は丸ノコ定規を踏面の角度でロックしています。
蹴上寸法と踏面寸法から斜辺の寸法を出す
中学校の時の復習ですが、遠い昔のことで思い出すのに時間がかかります。
絵の「?」の寸法が分かれば、ささら桁の墨付けが非常に楽になります。
蹴上寸法と踏面寸法が分かれば計算で斜辺の寸法を簡単に出すことができます。
計算方法はこうなりますが、2乗とルートを使うので面倒・・・ネット上に計算サイトがあるので、それを使います。
このサイトにアクセスして「底辺に踏面寸法」
「高さに蹴上寸法」を入力し計算するだけです。
305,4mmが斜辺の寸法です。この寸法をささら桁として加工する板材に記しします。その印を基準にクセガネを当てていきます。
階段のささら桁と床との取り合い
階段のささら桁と廻り階段との取り合い
今回の階段はささら桁が見えなくなる納まりです。もしささら桁が化粧の場合でも、同じ考え方で墨を出すことができます。
以上 階段の掛け方・ささら桁のつくり方と取付。納まりと寸法と計算方法 でした!
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コメント
すばらしい内容でした。
今、木製の階段の寸法を決めています。
ササラ桁の寸法の決め方がわかりません。
切り欠くので、安全性についてどのように考えるのが良いのでしょうか?
コメントありがとうございます!
ササラ桁の安全性について、大切な部分ですよね。
ブログで紹介しているササラ桁は、ネダボンドとビス併用で壁に取付ける前提なので、30mm×270mmの杉板を使っています。ササラを一本化粧として見せる場合には、過去の経験として75mm×270mmの米松無垢を使いました。しかしこれは構造計算した訳ではないので強度は確かではありません。大手メーカーの木階段の寸法を参考にされると良いかもしれません。
早速お返事いただいていたにも関わらず、確認が遅くなり申し訳ございません。
大変助かりました。
大手メーカーの物を参考にするのもよさそうですね。
今は外国産木材が入らず問題になっているようで、
ベイマツではなく国産材にする必要がありそうです。
初めて拝見したブログでしたが、とても勉強になります。
また何かありましたらコメントさせていただきます。
この度はありがとうございました。