僕は過去にハウスメーカで営業をしているときに名古屋で150件以上のお家の塗装工事をさせていただきました。
たくさんの外壁塗装物件を見たし、たくさんの塗装業者さんと仕事をしました。
外壁塗装にも基本があります。
その”基本をしっかり守っているか”が良い塗装のポイントです。
慣れからなのか、もともと知らないのか、基本を守っていない外壁塗装業者は少なくありません。
どんなに大手であっても、です。
塗装工事は、まず現場調査からです。
新築してから10年目のお家、
20年間何もしてないお家、
1度どこかで塗装工事をしたお家、
大手ハウスメーカーのお家から地元の大工さんで建てたお家まで、いろんなお家を見せていただき、また塗装工事をさせていただきました。
そこで、わかったポイントをまとめてみます。
職人目線から見たポイントです。
これから外壁塗装を検討される際の参考になれば幸いですm(._.)m
外壁塗装=メンテナンスの目安は10年?
外壁塗装業者の飛び込みの営業さんは、だいたい築10年くらいのお家を目安に営業に来ます。
「10年が外壁塗装メンテナンスの目安ですよ!」などと持ちかけられると、「そんなの仕事取りたいからのでまかせでしょ?」と言いたくなります。
10年ひとむかしといいますが、なぜかこの10年というのが自然の摂理からか節目となるようです。
よほど年中日光の当たらないお家でない限り、10年という年月による劣化が必ずあります。
野ざらしの過酷な状況に10年間もさらされてるわけですからノーダーメージではいられません。
10年目は側から見ても何もないように見えますが、そこからの劣化のスピードがいっきに早まります。
実際に10年目にお伺いして外壁塗装をご提案したものの「まだまだキレイだからやめておくわ」となった2・3年後に「ヒビや汚れが目立ってきたので塗装しようかな」とご相談があることもよくありました。
外壁と一言でいっても壁のほかに、
屋根・雨樋・水切り・目地コーキングなどのパーツがあります。
それぞれ材質が違うので劣化のスピードも違います。
そんなそれぞれのパーツの劣化を含めてみても、やはり10年という目安で塗装メンテナンスすることが全体をより長持ちさせるポイントになってきます。
モルタル壁の吹付よりもサイディングの方が長持ちする?
サイディングのお家に外壁塗装をご提案すると「うちの外壁はサイディングだから塗装は必要ないでしょ?」と言われることが多々ありました。
サイディングって、よく20年耐候とかもっと年数の上のものまであって、かなり頑丈なイメージがあります。
たしかにサイディング単体では非常に頑丈なものなんです。
しかし、サイディングはパネルになっています。それを現場で一枚一枚積み上げて張っていき、ジョイントをコーキングするんです。
どんなにサイディングが強くとも、このジョイントのコーキングは劣化してしまいます。
コーキングも新素材が開発されて20年耐候みたいなのもあるようですが、やはり10年ほどでどうしても劣化してきます。
コーキングの劣化は著しく、ひび割れ、縮み、ポロリと剥がれ落ちたりもします。
問題は、表面はすこぶる強いサイディングですが、切り口は非常に弱いこと。
コーキングがひび割れて、ここから水が入り続けると、サイディングの切り口から水が染み込み、ついにはウエハースのようにサクサクボロボロになり、指で軽く押しただけで剥がれ落ちるほどになります。
だから、どちらかというと吹付壁よりもサイディング壁の方が定期的なメンテナンスが必要です。
「まだキレイだから外壁塗装は必要ない」は間違い
「まだこんなにキレイなのに、なんで塗装なんかしなきゃいけないの?」とよく言われました。
外壁が変色したり、汚れてきたり、ひび割れが目立ってきたら、というのも目安になるかもしれません。
ただし、目に見えて劣化が分かるほどになると、ダメージが深刻なときがあります。壁の中まで水が染み込んでしまって、壁が大きくボコっと膨らんでいたり、サイディングも先ほどのようにボソボソになっていたり…
いつもそんなに注意して見ていないだけに、気づいたときには補修が大変ってこともありました。
キレイだからこそ、キレイなうちにメンテナンスしないと、奥様みたいにずっとキレイでいられませんo(^-^)o
ほんとに早めのお手入れが安心につながります。
「外壁塗装の費用を安くしますよ」のカラクリ
「近くで塗装工事していますので今ならお安くできますよ!」
こんな営業さんが訪問してきたことありませんか?
「近くなので安い」のは
近いから足場を運ぶ経費を落とせるだとか
そのまま続きで工事に入れるから職人さんが安くしてくれるとか
理由はいろいろ出てくると思います。
でも、お客様への費用を安くしても塗装屋さんが損することはありません。
実際に、足場の経費とか、職人さんの移動コストとかは微々たるものだと思います。
費用を落としても、ちゃんと儲けを出すためには、
「工程を省く」と
「塗料を薄める」こと
の2つになります。
まずは工程を省くからご説明します。
塗装工程の中には養生とコーキング(シーリング)があります。
どちらも大切な工程です。
しかし、この2つを無くせばかなり手間が省けます。
工程を省く「養生」
養生で仕上がりが決まります。
養生はすごく手間がかかるんですが、いい職人さんは必ず養生を大切にしています。
養生を無くせば、その分手間が省けます。
しかし仕上がりは雲泥の差。
「仕上がりは素人には分からないだろうから気にしなくていいや!」といった具合で、塗料ポタポタ、面が塗れていればいい程度の塗装で終わらせている物件も数多く見ました。
塗装も隅が大事なんです。
面がペタペタ〜ってただ塗れていればいいってもんじゃありません。
隅をキレイにしっかり塗る。だから養生が大事なんです。
適当な塗装はほんとに酷くて、あちこちに塗料を落とし、下からは見えないところは塗っていないって物件までありました。
工程を省く「コーキング」
次にコーキング(シーリングともいいます)です。
コーキングとは見た目を例えるなら歯磨き粉のようなものです。
サイディングのジョイント部分や、
窓など開口部サッシ周りなどに、専用のガンで塗りつけます。
固まると気密・防水パッキンの役割をする大切な工程です。
サイディングの弱点であるジョイントは通常古いコーキングを全て取り除いて新しく打ち替えますが、そのまま上から薄く塗ればコーキングも少量で済み手間もかかりません。
また、サッシ周りは雨漏りの原因になりやすいので必ずコーキングで防水したいです。
しかし、この工程もまるっと省いけば手間がかかりません。
実際にコーキングがされていなくて塗装だけ塗ってある現場はよく見かけます。
コーキングはすごく大事です。外壁塗装メンテナンスをするなら必ずしておきたい工程です。
塗料を薄める
基本として塗料は水で薄めます。
各塗料メーカーさんは、その塗料と水の割合を規定で「○%」としっかり決めています。
それをしっかり把握して、計って規定量の水で薄めます。
この水と塗料の割合をきっちり守らないと、塗料の耐久性を保てません。
しかし水を規定よりたくさんいれると、
薄まって塗料の伸びが良くなり、
塗りやすいし少量で多くの面積を濡れるしと、塗料の使用量をかなり減らせます。
規定量を守った塗料でも、
薄めた塗料でも、
塗ってすぐは見分けをつけるのは難しいんです。
ここで塗料代を浮かします。
「10年保証と言ってたのに、薄めると耐久性が落ちて業者が後々塗り直して損するんじゃないの?」
薄めた塗料は早いと3年ほどで変色してきます。しかし、3年後にその業者を見つけようとしても…ほとんどの業者が倒産してたりします。
10年保証をつけようと思ったら、10年以上は会社を維持しないといけません。
そのつもりなら、無理な値引きをして会社を不安定にすることはないと思います。
塗装は濃度と厚み
良い塗装は、厚みをしっかり塗ることです。
厚みを塗るためには、まず先ほどの塗料と水の割合を守ります。
そして壁の面積に対して、厚みを塗るために必要な塗料缶の数を事前にちゃんと算出します。その塗料缶をきっちり使い切るように塗ることで厚みを確保します。
塗料の厚みは定規などで測れません。
だから、必要な塗料の缶数を使い切ることで厚みを確保します。
僕は、見積もりの際に「○缶必要になります」とお客様へお伝えして、塗装時に開けた缶は捨てずに畳んで並べて、使い切ったことを必ず証明してました。
ほとんどの塗装業者さんは、塗料缶のビフォーアフターを写真に撮って残してくれるはずです。
コーキング(シーリング)が重要
先ほどもコーキングについて触れました。
このコーキングをするかしないかで、建物の耐久性が大きく変わります。
家はどんなにしっかり造っても、雨漏りする可能性があります。
風によって雨水が押されて逆流し、思いもしない場所から雨漏りしたりすることも良くあります。
雨は自然そものなので、予測が難しいです。
実際に雨水が浸入する場所で一番多いのがサッシ周り
雨漏りのほとんどがサッシ周りからです。
新築して10年も経つと、木が痩せたりして建物が馴染んできます。
各所に1mm2mmほどのひずみが出てきます。
サッシはアルミなので木材ほど縮んだりしません。そうするとサッシと壁の取合いにスキマが出てきたりします。
この隙間から水が入り、壁の中をつたってリビングの天井に出てきたり思いもよらない場所に雨漏りとして出てきます。
ですから、建物が馴染んできた10年目を目安にサッシ周りを全てコーキングして防水することをオススメしていました。
少しでも雨漏りのリスクは減らしたいです。
せっかく足場を掛けて、壁を塗るなら、サッシ周りの防水コーキングはセットにするべきです。
しかし、この工程を省いている塗装業者さんは少なくないです。
他社より安くするために、見積もりに「コーキング」とうたっておきながら、下から見えるとこしかコーキングしてない物件もありました。
「なぜコーキングするのか?」をしっかり説明してくれる業者さんが安心です。
本当にあった悪徳業者
実際に「これは悪徳業者だな…」と見て思った塗装物件もいくつかありました。
でも、そんなことお客様自身は気づかれていません。
「この仕事は悪徳ですね」なんてストレートにお客様には言わないようにしてました。
だってショックですから。
「現状こうなっています」と写真などでお伝えして、「塗装はこうした方がより良くなります」と正しい塗装方法をひとつひとつご説明していました。
悪徳業者=足場を掛けずに塗装していった
下屋の大きなお家だったので、足場がいらないといってハシゴだけで塗装していったみたいです。
実際に建物に登って各所見てみましたが、下から見える部分しか塗っていません。
また養生をまったくしてないので、屋根瓦に塗料がポタポタ落ちてます。
サッシのコーキングもしていません。
鉄部も、壁も、同じ塗料で塗ってあります。
通常鉄部は錆止めを下塗りします。
そんなのおかまいなしです。
刷毛でサーっと塗った形跡だけありました。
ちゃんと塗れてないので、下地が見えててハゲハゲです。
塗った程という感じでした。
たぶん塗料もシャバシャバです。
5年しか経っていないのに、もう劣化して塗装の意味をなしていませんでした。
ここまで酷いのは少数ですが、
・養生をきちっとしていない
・足場をちゃんとかけない
などはよく見かけます。
このあたりは見積もり時に聞いてみてちゃんと説明してもらうのがいいと思います。
塗装工事店を見分けるポイント
どうすればいい塗装屋さんを見分けれるのか?
考えてみます。
見せてもらうのが一番!
実際に施工中の現場を見せてもらえれば分かりやすいです。
見るポイントとして
・養生
・サッシ廻りの三角コーキング
・塗料缶の状態
があります。
足場は「ちゃんと床があるか」
床がなく単管(鉄パイプ)だけで足場が組まれていたりすると、足元が不安定でしっかりと塗装できません。
よほど隣のお家との隙間がない場合を除いて、足場はちゃんと床が組んであって外周りもシートがしっかり結んであることが大切です。
養生はピシッとしているか
養生はビニールとテープで行います。
サッシ周りも全てビニールできっちり覆われているか?がポイントです。
養生用のテープは、ピンクや青や紫など目立つ色をしています。
このテープがキレイにまっすぐピシッと貼られているはずです。
適当にペタペタと貼ってあったり、ビニールがあちこちヒラヒラしていると「ちゃんと塗ってくれるかな?」と不安になります。
サッシ廻りのコーキングがあるか
コーキングはオプションではなく標準施工としてあるべきです。
コーキングのタイミングは、養生の前後です。塗装の前に入ります。
1日で終わる工事なので見れるタイミングが限られていますが、サッシ廻りにこってりと白いコーキングが打ってあるかを見ます。
三角コーキングといって、チューブで打った後にヘラなどで押さるので断面が三角になります。サッシの際がきっちり埋まるようにキレイにコーキングされているかを見ます。
サッシの下端、とくに掃き出しサッシの下端など見えにくいところをちゃんとコーキングしてくれているかがチェックポイントです。
空いた塗料缶が並べてあるか
塗装は厚みが大事です。
その厚みを確保するために、塗料の缶数をきっちり塗り切ります。
空いた缶はただのゴミじゃなく、塗ったことの証明です。
意識している塗装屋さんは、空いた缶も大事に並べています。
まとめ
すごく長くなってしまいました。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
塗装って一見簡単そうに思えませんか?
この簡単そうなものほど、腕の差がはっきり出ます。塗装は非常に難しい業種です。
どうしても職人さんによって差が出てしまいます。
上手な職人さんは基本をきっちりされています。基本をきっちりしているかは養生に現れます。
僕がいつも指名しているのは養生を大切にしている職人さんです。
たくさんのいい職人さんに出会って、いろんな話をしているうちにいろいろ詳しくなりました。
この記事がご参考になれば幸いです。
以上
外壁塗装業者を選ぶポイント。150件塗装工事してみて分かったことをまとめました!でした!
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